そんな悉皆屋さんが主人公の小説です。

![]() | 舟橋 聖一 講談社 2008-06-10 売り上げランキング : 595811
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反物・着物の染め、染め替え、洗い張りなど仕立て・仕上げの始末「全部、一切」を請け負った悉皆屋さんは、和服全盛の太平洋戦争前までは無くてはならぬ仕事だったのでしょうが、今はかなり少なくなっています。
この小説は、そんな昔の話なのに、職人のプライドなどが感じられて古臭くは感じませんでした。
一番興味を持ったのは、とにかく沢山の色が出てくること。
主人公はうっかりふつうの納戸色だと早合点してしまったのですが、悉皆屋の大番頭は「納戸は色気が大変なんだ」ということを叩きこみます。
納戸には深川納戸と鴨川納戸があって、これは江戸の色気と京都の艶のちがいがある。深川納戸はすこし沈んで、鴨川納戸はすこし光っている。その深川納戸と、隅田納戸と花納戸ではまたちがう。橋立納戸と鳥羽鼠のちがいを見分けるのもなかなか難しい。そのほか相生納戸、幸納戸、鉄納戸、藤納戸、大内納戸などなど。。。
納戸色はこちら→納戸色とはhttp://www.handjc.net/aa-nandoiro.html
ただ、ディスプレイによっても違うでしょうね。。。ざっくりと書くと「つよい緑みの青」。色見本を思わず開いてしまいました。糸の細かさや光の反射の具合でも違って見えるのが色。それがこんなに細かくわかれていると、本当に気持ちの問題、に近くなりそう。
でも、その微妙なニュアンスを表現するのが日本のよさでもあると思っています。小説自体も面白いですが、そんな着物にまつわる単語などの勉強にもなりました。
こういう、色が出てくると見返して確認している本があります。

やっぱり目で見ないと色はわかりません。
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バナーの画像は私が2年前に古着屋で購入した刺繍帯です。気に入っているのですが、購入後妊娠し、まだ一回も締められていません

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和日和着付け(出張もいたします。)http://wabiyori.net/kitsuke.html