2007年05月16日

喪の装い

先日、喪の装いについてのご質問を受けました。冠婚葬祭は、本当に地域によって、家によって違いますので、なんとも答えられないところがあるのですが、最低限のルールはあります。

■帯について
質問を受けたのはこちら。その方のお持ちの帯が袋帯だったために、「二重太鼓は"重ねる"ということで不祝儀に合わないような気がします」とのことでした。

確かに、現在流通している喪の帯は名古屋帯がほとんどです。しかし、礼装はやはり袋帯という昔(50年以上前になるでしょう)の考え方をお持ちの方もいらっしゃり、実際、おばあさまの帯は袋帯だった、というのを聞いたことがあります。
現在も、北海道の一部や四国の一部の地域では袋帯で二重太鼓のところもあるようです。

しかし、実際に"重ねる"と思われる方もいらっしゃるので、私が個人的に袋帯を着用するとしたら、手を折り込んだりし、一重太鼓に結ぶと思います。

まぁ、黒でわかりにくいですし、そこまで葬儀の際に人の背中ばかりジロジロ見る人はいないと思いますが。。。

■着付けについて
現在はほとんどの方は洋装で、身内の方でしか和装の方はいらっしゃらないような気がします。仕事上の関係であったり、夫や家族の代理で、となると和装では仰々しいと思われることもあります。
着付けにおいては
・枕は小さめを選び、つける位置も高すぎない
・お太鼓の形は大きくしない
・手先も控えめに
・帯の幅出しも控えめに
・帯締めの房は下向き
・着物もえもんを抜きすぎない・襟を出しすぎない、襟合わせは深めに
など、控えめな着付を心がけるべきだと思います。自分の着物姿を披露する場ではありませんから。

■小物や着物の色について
現在の喪服セットは全て黒になっています。が、昔ながらの土地や家では喪主は白、となっているところもあります。私の実家(富山県西部)もそうです。
昔は、色無地や普段着に黒の紋付羽織を着てかけつける、という方が多かったようで、現在は色喪服といえばグレーや寒色ですが、ピンクの色無地に黒の帯、という方もよくみかけられたようです。

そういえば、富山には「風の盆」があります。こちらは、皆、帯は黒です。これは昭和の初期ごろ物があまりない時代に帯だけはどの家にも黒があり、揃いになる、ということから黒となっているようです。

また不祝儀の話に戻りますが、帯揚げ、帯締めも白の方がいらっしゃいます。今でも舞妓さんが不祝儀の席に出るときは白の小物なのだそう。でも、それを知らずびっくりされる方もいらっしゃるかもしれませんので、これから購入される場合は、黒の小物の方が無難でしょう。
着付け小物も黒のものが売っていますが、私はピンクなどの明るい色でなければいいのでは、と思っています。見えませんしね。。。

全てが黒化したのはここ10〜20年のようです。洋装の喪服・ドレスコードの影響でしょうか。

■黒の違いについて
昔は「紅下黒」「藍下黒」といって、昔から紅は保温、藍は防虫目的のために、紅や藍から黒に何度かにわけて染めていたようです。確かに、並ぶとわかります。
現在は、染色技術が発達し、一発で黒く染められるようです。

反物の端が赤かったり、青かったりして、呉服屋さんがそれぞれの言葉をおっしゃることがありますが、物によっては染め上がった反物の入り口の窓に、紅や藍を塗る、という事があるようです。私には違いが見分けられないのですが、そうやってもったいをつけて高く売ろうという業者もいないわけではない、ということを念頭においてください。
現在は、黒ければ黒いほうが好まれるようで樹脂をのせてあることもあります。これはヒザなどがすれると白くなってきます。

喪服をそろえる場合は、割り切ってポリのものとしてしまうか、信頼できる呉服屋で揃えられるのがいいと思います。

■用意について
不祝儀の多くは予測できません。また、「そんな前々から準備していたなんて、待っていたみたい」と思われることもあります。(ピン札を使わない、というのはそういう理由ですもんね。)が、ドタバタとし、気持ちも平常ではなくなってしまうからこそ、常に準備をしておいたほうがよいと思います。

つまり、喪服のセット(小物・着付け道具・足袋・草履など全部)と袱紗や香典袋(これまた関西は黄・白、関東は黒・白とありますので両方用意しておくかコンビニで購入されるといいと思います)、など一式をまとめておくことです。着物用の白の割烹着(飾りがないもの)も入れておくと便利だと思います。喪主ではない場合、お茶を出したり食事の仕度を手伝ったりする場面があるでしょうから。
自分は先に向かい、後から家族に喪服を持ってきてもらったり送ってもらったりすることもあると思います。まとめておけば、そういう時にあわてなくてすみます。



私の祖母の実家は葬儀屋をやっておりますが、大往生された方の葬儀ではお孫さん(玄孫さんとかかも。。。)が振袖を着られたというのも聞いたことがありますし、最近では「お別れの会」として生前の故人の希望により明るい式を、とされる方もあると思います。
最近では、すこし不謹慎かもしれませんが、植木等さんのお別れ会での松任谷由美さんのお着物姿がとても綺麗でした。さすが呉服屋の娘さんだなぁ、と。

不安に感じられたときは、その土地の方、親戚の方に確認されたほうがいいと思います。もし合わなくても相談したというだけで気を使っていることが伝わりますから。

何度にもなりますが、大切なのは故人を偲ぶ心ですよね。
posted by wabiyori at 19:14| Comment(0) | 着物FAQ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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